僕は9月後半から車中泊しながら東北を回っており、10年前の東日本大震災で甚大な被害を受けた気仙沼に行き、とても素敵な方と出会えたので皆さんにも紹介させていただきたいと思います。
9月30日に気仙沼に行き、地元の方が気仙沼を案内してくださりました。震災のことなどもたくさん聞けてとても良い経験でした。
その方が元気な女将さんのいる酒屋さんに連れてってくださり、お土産で日本酒を買い、少し女将さんと話してお店を出ました。
その夜に買った袋の中を見てみると小さな冊子が1つ入っていました。
この冊子には被災してから復興するまでの記録と、津波で天国へ旅立ったご主人への恋文が書かれています。
この冊子によると津波が押し寄せたあの日、必死に手を伸ばした文子さんの目の前でご主人が津波で流されてしまったそうです。
僕がお店で話していた時はとても元気な女将さんという印象で、まさかそんな経験しているなんて思ってもなかったのですが、そう考えるとこの街に住んでいる多くの方々はその悲しみを乗り越えて生活しているんだと感じました。
僕が皆さんに紹介したいのは被災後に文子さんがご主人に送った「あなたへ」という恋文です。
本当に全文 飛ばさずに読んで頂きたいです。
以下本文 (掲載許可いただいてます。)
あなたへ
ひぐらしがうるさい位鳴いています
今日は八月二十一日 日曜日
お盆を過ぎて街は静かになりました
あなたが突然いなくなって五ヶ月と十日
もう五ヶ月 まだ五ヶ月ととても複雑です
あの日忘れようにも忘れられない
東日本大震災が起きました
あなたは迎えに行った私と手を取り合った瞬間
凄まじい勢いで波にのまれ私の目の前から消えました
いったいどこへいってしまいましたか
あの時から私の心はコンクリート詰めになり
山々が新縁に覆われても桜が咲いても
何も感じることが出来ず声を上げて
泣くことすらも出来ずにおります
そして息子達も私も語り尽くせぬほどの
様々の事があってこん日に至ります
突然いなくなったあなたに伝えたい事
聞いて貰いたい事が山ほどあって
心の整理もつかないけれど手紙を書く事にしました。
お店のこと心配していますか
お店はたくさんの方の方々の応援をいただいて
四月二十三日仮店舗をオープンしました
十三坪の土地に三坪のプレハブ テントをひと張り
混乱の中で息子達はほんとによく頑張りました
そのお店の真向かいには一軒家も借りることが出来
家族五人で暮らしています
全国の皆さんからはたくさんのご支援をいただいて
その上素晴らしい方々とも
出会うことが出来ました
又 私が買いたお酒の「負けねぇぞ気仙沼」のラベルがとても好評で多くの方々に買っていただいています
ある方に「これは旦那様が書かせてくれたのよ」と言われました
私もきっとそうだと思っています
何も言わずに別れてしまったから
ありがとうと伝えたくて切なくて悲しくて
どうしようもないけれど
三十八年間一緒にいてくれて仲良くしてくれて
ほんとにありがとう
守ってくれて支えてくれてありがとう
感謝しています
これからはあなたが必死で守ってきた
お店ののれんは私が息子達と守ります
大丈夫です あなたはきっと何処かで
私達のこと見守ってくれているのでしょう
季節の巡りは早く間もなくすず風が
吹いて秋がやってきます
願わくは寒くなる前に雪の季節が来る前にお帰りください
何んとしても帰ってきてください
家族みんなで待っています
私はいつものように お店で待っています
只々ひたすら
あなたの帰りを待っています
菅原 豊和様へ
平成二十三年八月二十一日
菅原 文子
この恋文を読み、自然と涙が溢れました。なんて素敵な恋文でしょうか。ご主人は1年3ヶ月後に発見され、家族でおかえりを言えたそうです。
この恋文を読んで感じたことが自分の中で多すぎてそれをまとめて文字にすることが出来そうにありません
どうしてもこの文を共有したくて女将さんに電話をかけて聞いてみたところ快く承諾してくださりました。文子さん本当にありがとうございます。またお酒を買いに行きます。
すがとよ酒店
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